経済成長戦略

 国の借金が900兆円になったと聞く。私は、経済成長時代でもない今、増税する前に、まず、ダイナミックに役所の経費を身の丈にあった内容に削減するべきだと考えるが、やはり、大切なことは経済成長戦略である。経済成長があれば、自然と税収はあがる。この不景気な状態の中で、増税するような事になれば、さらに、社会の行き詰まり感が進む。

 では、どうすれば、この国で経済成長ができるのだろうか。これは、難しい問題である。戦後、わが国は、欧米諸国の工場として、大きな成長を遂げた。また、それに伴い、株や不動産も値段が上がった。しかしながら、韓国や台湾の経済成長、そして、近年はもの凄い勢いでの中国の経済成長により、日本のこれまでの成功モデルは通用しなくなった。

 しかしながら、成熟社会を迎えた我が国は、相変わらず、これまでの成功神話を信じ続け、大きな変革、挑戦をしようとしていない。まさに、ぬるま湯で炊かれたカエル状況である。情報通信の発達や空港整備などにより、今、より世界は近くなってきている。少なくとも、これからの若い世代は、アジアを一つの国に見立てた行動をとるべきであると私は考えている。

 例えば、地方自治体においても、このことはあてはまる。今、中国を始め、アジアの地方都市は劇的な発展を遂げている。しかし、近代的都市を築くためのノウハウ。つまり、建設、交通、水道、下水、福祉、医療、又、環境、災害対策などの知識、知恵は少ない。例えば、地下鉄を走らすにしても、電車は企業に発注できても、運営ノウハウは自治体が持っている。

 日本の自治体は、大幅な支出削減を行い、人員の削減も行い、削減された職員は自治体の第3セクターでも良いので、こうした公共サービスをアジアの各都市から請け負う会社を設立すれば良い。そして、この第3セクターと一緒になって、これまで役所から仕事をもらっていた会社がアジアの各都市で仕事をもらえば良いのである。日本の人口は減っていくのであるから、地域のサービス予算も小さくなるのはやむをえない。

 繰り返すが、これからの時代、日本は国内だけを見ていても生きてはいけない。中国は欧米諸国、そして、特にアフリカ諸国に力を入れているのがわかる。わが国も、世界を見なければいけない。車や電気製品で世界を見る事も大切であるが、日本が経済成長先輩国として、これまで進んできたノウハウなどをもっと積極的にアジアに売っていかなけばならない。

 日本は、経済成長している国々の見本国として、都市づくり、福祉づくり、環境づくりなど、人々が安全で安心に暮らせる社会づくりをしていくプロデューサー・コンサルタントとして、アジアの都市で、指導し、育てていく仕事があるのである。これが、私が考える経済成長戦略のアイデアである。行政経営は継承ではだめだ。時代が変わっているのだから、挑戦こそ大切でなのである。

 私の住む街、神戸市もかっては、株式会社と言われ、都市経営の神様と言われた時代があった。今は疲弊する神戸だが、今こそ、これまで培ってきたノウハウを世界に売っていく時代だと私は考えている。私が市長であったなら、神戸の素晴らしい技術、ノウハウを中国の各都市に、そして、世界に売って回る。

 都市のリーダーは、元気な街、すなわち、稼げる街を作っていくことこそが大切なのである。国際都市、先進都市と言われてきた神戸のような街こそが、頑張らなければならない。今こそ、守りのリーダーではなく、攻めのリーダーが求められている。


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