ベンチャー学会

昨日、関西ベンチャー学会の総会があった。
縁あって、昨年、入会させて頂き、
自分のコラムもハンドブックに載せて頂いたこともあって、
特に面識がある人も多くはなかったが、
思い切って出席させて頂いた。
朝10時から午後7時ぐらいまで、さまざまなプログラムが続く。
5年間にできた学会らしいが、
京大、阪大、市大、県大、神大、関学など、関西を代表する大学の教授などで、
約300名を超える会員数らしい。
参加者も150名以上いたように思う。
しかし、時代が変わったと、つくづく思う。
私が大学時代、友人たちとベンチャーを起こした時の教育界には、
ベンチャーを支援するような空気はもちろんなかった。(特に学生ベンチャー)
私が、実践ビジネスを学びたいため、毎日、走り回っていると、
何のために大学に来たんだ。実践は社会人になってからしろ。
就職しないで、起業しますと言うと、甘い!
何を考えているんだ。社会は甘くない。絶対、就職しろ!
もちろん、親からも、同じように、大学までいかして何をしてるんだ。。
それが、24年の年月を得て、学生起業家が、教授陣の前で実践発表。
朝から夜まで、仕事で夢中ですと、堂々と発表する学生の会社に、
教授陣が支援し、出資までしている。
また、各大学が競って、起業のカリキュラムを導入している。
一見、うらやましい気持ちもするが、本当にこれでいいのだろうか。
アカデミックな経営学は知識が甘い私だが、実践の経営については、あらゆる貪欲さで、
経営の世界を見てきた。食事を取る暇もないぐらい、一所懸命働いてきた。
実践派の私としては大きな危惧がある。
それは、やはり、実践経営は学問でないことである。
実際の経営は泥くさい。社会には、いかに騙してお金を取るかの悪い人も多い。
そして、さまざまな罠もある。そして、何よりも、起業はそんなにうまくいかない。
寂しい話をして恐縮だが、起業した経営者の名刺で3年後に電話をしたら、
95%ぐらいが電話がつながらない。自慢に成るかもしれないが、知人の中でも、
大学時代に起業し、同じ名前で、20年以上もその会社で経営を続けている人間は、
私ぐらいしかいない。起業に失敗した知人達は、軟禁されたり、親や親戚まで追い込みを
かけられたり、自律神経が弱り、ホームレスになったり、風俗の店員になったり、
親、兄弟の家を売ったりして、多くの悲劇を私は見てきた。
一時的に儲かる時もあるが、その時、規模を大きくすると、今度は、だめになった時、
その固定費が莫大になって持ちこたえられなくなったりする。
私は、そんな姿を見てきたから、ある意味、慎重に経営を続けているが、
最近、確かに、何度も会社を潰したりしてきた、
学生ベンチャーの仲間たちのいくつかが多く上場したりしている。
成功した人間はあまり、恥ずかしい話はしたがらないが、大変な苦労もしてきて、
今があることは、私は、良く知っている、二十五歳で十数億円の負債を抱え、
ヤクザに追われ、軟禁され、マッサージ師をしたりしながら、今、復活した友人もいる。
実際、起業の道は本当に大変だ。
私も、本当に仕事以外に、経営者として信じられない問題の多くに直面した。
確かに、経営者はやりがいも、自由も、生き甲斐もある。
しかしながら、学問では片付かない、問題が、日々、やって来るのが経営だ。
軽はずみな思いでやっていると、大学で起業を教えられた学生も、又、参加した先生も、
大変なことになりかねない。創るのは大変でも、失う時は一気に失うのが経営だ。
お金だけでなく、何より、信用を失うことがつらい。
良い時は多く人がやってきても、トラブルになると多く人が逃げる。
特に、売上げや利益がどこで出るかわからないIPO会社などは、
彼らの将来が本当に心配だ。実態とは関係なく、株価をあげ続けるために、
虚業も行わざる終えない。そんな会社をみんなで祭り上げて、大切な若者の将来を、
潰してしまっていいのだろうか。株価が下がった友人のIPOした経営者は不平のいたずら
電話に耐えかねて、自宅の電話を8回変えた。私は決して、起業を否定しない。
しかし、起業とは、実に厳しいもので、一時的に儲かることはあっても、
多くのそうした会社が破裂する。そんな冷静な見方も必要だと思う。
経営とは、存続である。存続するためには、本当に冷静に慎重にならない面も多い。
わが国より、一足早く、IT化が進んだ、韓国では、ITでIPOした会社のほとんどが、
上場した会社が上場廃止になっている。慎重に、そして、足元を固める。
起業家の回りにはそんな人たちが必要なのである。
今となって、起業を否定的な面から、忠告してくれた私の当時の大学の教授に、
深く感謝している。当時の教授が社会のきびしさを教えてくれたから、
私はより慎重な経営を続け、24年間続けられている。
私は、実践起業の良い面と本当に厳しい面を若者達に指導できる
そんな講義をいづれ大学でしてみたいと考えている。

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